こんにちは!いつもTPSのブログをご覧いただき、ありがとうございます!
(^O^)/本日は、TPSでのお子様の音感教育や聴音ソルフェージュにおける音名の扱い方について
TPSでは音感教育もおこなっておりますが、お子様お一人おひとりの状況に応じて内容は変えております。
というのも、お子様の生活や学習の場面全体で考えたとき、必ずしも「絶対音感」をつけることはすべてのお子さんにとって有意義ではないかもしれないと感じているからです。
◎かなり前の学校教育の音楽教科では「移動ド唱法」(階名唱法)が主流でした。今でも調名には「日本音名/ハ、二、ホ」が使われています。
おさらいしておきますが、「移動ド唱法」(階名読み)とはある調の主音(音階の第一音)をドと読むことにして、音階上での番号にドレミ(1番目、2番目、3番目の意味)を当てはめた歌い方や読み方です。
例えば ハ長調のソ から始まる調(日本音名ではト調)は 「移動ド唱法」では ソ=【ド】で歌います。同じように3度上のシの音=【ミ】と読むわけです。移動ドの読み方は「スケール/目盛り」としては非常にわかりやすく、移調などがしやすいようです。そのため階名唱法とも言っていました。
◎一方クラシックの音楽教育においては多くの場合「固定ド唱法」が主軸です。
これは【ド】は音階上の一番初めの音(主音)ではなく、あくまで位置が固定されていると考えるものです。
何調であれ、ドの音はあくまでドの音であり、移動しないので「固定ド唱法」という言い方をします。
ところでこの 「ド、レ、ミ」も実は万国共通ではありません。
主にイタリアとフランスが使っていますが、ドイツでは別の呼び方で音名がつけられています。
ツェー、デェー、エー、エフ、ゲー、アー、ハー が白鍵(幹音)のドレミファソラシド のドイツ音名です。
さらに変化音(臨時記号がついた音⇔幹音と区別する)にもそれぞれ固有名詞としての音名があります。
♯系とフラット系の名前があり、同一音でも♯系の読み方とフラット系の読み方ができます。(これがいわゆる異名同音です)
現在では学校教育の現場でも階名唱法はなくなったようですが、この階名唱法こそが「移動ド」読みなので、以前はここも小学生の生徒さん方には説明しなければなりませんでした。
さて音感教育に戻りますが、今までに述べてきたように音名にもいろいろな方法があり、生徒さん自身が日頃どの方法(音名)を多く使っているかで、どこまでの知識を持っておくべきかが異なります。
専門家や受験志望の人には、ドイツ音名での徹底した位置づけをマスターしておくことが必要です。
異名同音や調性による音名の変化など、ドイツ音名の場合でも変換作業がスムーズにできることが求められるからです。
しかし、学校の音楽の時間に日本音名をよく使っているのならば、ドイツ音名よりも先にドレミとハニホの関係を理解させておくことが優先されます。そして変化音をいちいち「シャープのついた〇〇」と言わずに固有名詞としてのドイツ音名が使えることを、少しずつ覚えていってもらえば良いと思っています。
実は音感教育を行うときには、この音名の問題も同時に考えておかなければなりません。
絶対音感教育に関してはいろいろ世間では意見が分かれるところですね。
”絶対音感教育と言っても所詮は平均律に調整されたピアノを使っての訓練だ”という方もおられます。
事実、絶対音感の訓練の結果はメリットだけではないと講師自身も感じております。
最近巷で使われている「相対音感」がどのような範疇になるのかよく分かりませんが、移動ドも含めて「相対音感」と称して居る考え方もあるようですね。
TPSでは音感教育は絶対音感そのものを目的とはせず、音の響きをより深く理解し認識するためのツール(道具)として、音感は持っていた方が有利だとの視点に立ち、指導しております。
そのため、3年ほど学ばれてきた生徒さんはみな、ドイツ音名でも答えることができ、聴音書き取り時にも変化音を見つけることができます。この力は楽譜を見て弾くピアノの練習において、臨時記号の読み間違えをしないことにつながり、弾いている音が正しい音であるが自分で判断できる能力になっています。
特に中級以上になると、古典でもロマン派でも作品の中に変化音は多用され、色彩感をもたらしているので、この変化を感じられるためにはある程度音感が必要であると確信しております。転調や終止に関しても同様の耳の良さが重要になってきます。