こんにちは!
このところ春めいた陽射しが嬉しい東京です。
今日は表現力について
TPSでは中級から上級のレベルのソルフェージュ教材に、「ダンノーゼル」を使用しています。
これは「表現力」や楽典の知識を確認するのにもっとも使いやすい教材だからです。
一般にはソルフェージュ教材に表記されるのは、ブレス(=息継ぎ)の記号やスラーなどがほとんどです。
強弱の表記があるものも上級レベルではあります。
しかし、ダンノーゼルではもっと多くの記号がついている曲ばかりです。
速度記号、曲想、装飾音符なども出てきます。つまり「楽譜を読む=読譜・譜読み」の教材でもあるのです。
ソルフェージュに関しては次回に改めて載せることにし、今日は特に 【表情をつける楽語と表現力について】考えてみます。
案外生徒さんが苦労するのは「表情豊かに」とか「歌うように」という楽譜上での指示です。
そもそも言葉が漠然としていて、一人ひとりの感じ方も違うので、「つけたつもりでも演奏では伝わらない」ことが多く出てきます。
また、表現=甘ったるくウエットな演奏 と勘違いしている生徒さんもおり、音符やリズムそのものが持っている個性を活かさずに勝手な表情をつけてしまうこともよく見かけます。
そこでTPSでは、まず楽譜から表現の素材を読み取ることを学んでもらいます。
音楽には、歌の音楽、器楽の音楽、踊りの音楽 というジャンルがあることもきちんと伝えています。
また、時代的な背景や国・地方による特色が、リズムや音の使い方に表わされていることも、様々なジャンルの曲を数多くこなすことで体験してもらいます。
ここで、それぞれの生徒さんの感性のちがいが出るのは、「表現について」学んでいる時です。
これはその人の持っている本来の感性だけでなく、視覚や聴覚、体感覚で日常の出来事をどのようにとらえているか も大きな要素となります。お子様の場合は、ご家庭内での興味・関心の持たせ方にも大きな違いが出てきます。
また、言葉で説明することは得意ではないけれど、音楽演奏の面では非常に感覚が優れていて、指導者のちょっとしたヒントですぐに音として具現化できるすばらしい才能を持ったお子さんと出会うこともあります。こういうお子さんを見ていると、「この子にとって音楽で表現することは言葉や文字を使うよりもずっと簡単なのだろうな~」と感心することもしばしばあります。
また「表現する力をつけること」と、「受け取る力や感動する力を身につけること」 を並行して育てていく必要もあります。
むしろ受け取る力を育てる方が、現代社会では難しいのかもしれません。
身の回りに自然がなくなり、風のそよぎや梢のささやきを感じる機会は、都会になればなるほどどんどん失われています。
けれども、現代ならではの体験方法もありますね。
すばらしい地球や建物や人々の暮らしを映像で見ることができるのです。そこから想像力を膨らませることができれば。、実体験でなくても十分に【表現】としてイメージし、音楽として創り上げることができるのです。