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以前お伝えしたクラックのオクターブ練習曲集から、また新しいメニューをトレーニングに追加しています。

広げた手と鍵盤

今度は1指(親指)ではなく、4指(薬指)5指(小指)側の動きを柔軟にする内容です。

簡単に言ってしまえば、「4,5のみでいろいろ弾いてみよう!」 というものです。

  • 1指(親指)の音を維持(保留)しながら、4指、5指で音階の上下行を弾く
  • 3度音程(分散和音)を4指、5指のみで弾く
  • クロマティック(半音階進行)を1指を維持(保留)しながら弾く

このような課題があります。

 

さっそく何名かの生徒さんに使ってみたところ、興味のある結果が出てきました。

  • A ピアノ学習の初期段階から柔軟な手首や様々なパッセージを習ってきた生徒さんの場合

(TPSでの学習歴は5年を経過。教室を移ってから初めて指のトレーニングを開始した。以前の教室の在籍歴は6年ほど)

⇒⇒普段から練習量はけっして多くないが、自律学習は定着している生徒さん。

さほど苦労しないでこのような特殊な課題でも弾けた。これらの課題でも無駄な力が入っていないので、音量は弱いがなめらかな動きが初めからできている。

 

  • B ピアノ学習歴は9年以上だが、メカニックトレーニングが身についていない生徒さんの場合

(TPSで指導を受け始めてからは、ちょうど1年2か月ほど経過した生徒さんです。)

⇒⇒勉強している期間はかなり長いのだが、タッチに関してはあまり注意を受けてこなかったらしく、いろいろとくせがある状態。

この課題のような4指、5指のみの連続の動きにかなり苦労している。手首や肘の動きがぎこちなく全体にバタバタしてしまう。

普段の演奏でもタッチの違いやフィンガリングには、なかなか意識が向かない。ロマン派の曲になり外声を浮き立たせる表現が求められ、頑張っている最中。

 

もちろん、指の長さや手の柔軟性は持って生まれたものもあり、どんな生徒さんにも一人ひとり直していきたい部分があるものです。

けれどもTPSには「悪い癖をつけないようにバランスよくメカニックトレーニングのメニューを設定する」という基本方針があります。つまり、練習曲や課題曲の難易度を上げることよりも、様々な身体の使い方を体験してもらうことを中期までの生徒さんへの目標にしているのです。

あまり練習時間を取らない生徒さんにも、きちんとした練習方法や勉強の仕方はしっかり覚えてもらい、集中した効率の良い自宅練習が可能になるようにいろいろな教え方の工夫をしています。

こういう積み重ねが今回のような特殊なトレーニングをしてみて、効果があるということが実証でき、なんだか嬉しくなりました。

付け加えておきますが、最近毎回レッスンの初めにこのような柔軟のトレーニングを続けているので、前述のBの生徒さんもだいぶ肩から指までの動きが滑らかになってきました。このようなトレーニングの後は、やはりタッチの切れが良く、いい音が出ています(*’▽’)

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