こんばんは!TPSの講師ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今日はロングトーン(伸ばす音)をピアノを習い始めの生徒さんにどのように理解してもらうか を考えてみます。
ピアノという楽器はその特性として、他の楽器に比べ比較的簡単に音を出すことができます。
また、扱える音域がかなり幅広いことも特徴ですね。
このような面が「とりあえず楽器を演奏したい」ということでピアノを初めに選ばれる方も多いのではないかと思います。
音大などで「副科ピアノ」という講座がほかの楽器を専攻する人にも課せられるのは、こういう利点があるからではないでしょうか。つまり、ピアノならばたやすく音が出せるので、専攻楽器の学習歴が不十分な生徒さんにも、音楽の基礎能力が備わっていることが確認でき、音楽の勉強を深く学ぶための準備が開始できるということでしょう。
弦楽器ならば弓の運び(ボーイング)、管楽器ならば息(空気)の送り込み方 を初期段階にかなり練習しなければなりませんが、ピアノでは一本の指でも鍵盤を押せば音は出せるのです!
このような便利な面もありますが、実はピアノこそ、もっともロングトーンを意識しづらい楽器でもあるといえます。
ピアノではペダルの力を借りない限り、打鍵した直後が最も音量があり、時間の経過と共に音量が衰退してしまう事は、どなたもご存じのことでしょう。弦楽器や管楽器では音を持続させるための要素がきちんとあるので、かなり長く一つの音を保持することができ、伸ばしている間に強弱をつけることもできます。
このような視点で考えてみると、まだ何も知らない子供たちにピアノという楽器を使いながらロングトーン(伸ばす音)を学んでもらうことは、思ったほど簡単ではないのだろう とTPSでは仮定してみました。
打楽器において音を保持するためには、連打やトレモロというテクニックで音を鳴らし続けることが、「音を伸ばす表現」に繋がります。
ピアノではどんなに強く鍵盤を押し続けても、その音量を強くしていくことはできません。ピアノ演奏におけるタッチの重要性は、まさにこの問題をどのように解決するか でもあると言えます、
ですから、音の長さに注意を払うように指導をしていかないと、大きなフレーズの表現も伸びる音の個所でこま切れになってしまうような状態が起こるのです。子供達は指のトレーニングをしていかないと弱弱しい音しか出せなかったり、上からはたき付ける乱暴な動作で「フォルテの強さ」を出そうとしてしまいます。
また、正確な長さで音を切る(=音価を設定する)ためには、鍵盤からどのタイミングで指を離すかがポイントになるのも、ピアノ特有の「倍音」を利用した操作だと言えるでしょう。鍵盤を押していれば、ピアノの内部で共鳴し合って響きを(ささやかですが)保ち続けることができます。
ところが学習が進むにつれて弾く(鳴らす)音の数が増え、指の動きに速さが求められていくので、届かない鍵盤や弾きにくい音型では、音の保持をすべき場所でも、安易に指を離してしまうことが多くなります。確かに次の音は出せますが、前後の音楽の流れを注意深く聞くと、なめらかではなく、粒がいくつもあるような演奏になってしまうのです。
指導する側が最も気をつけていきたいのが、このような初歩段階においても、「演奏の基盤となるロングトーンへの意識をどのようにして持ってもらうか」 ということです。
と、当たり前のことを小難しく書いてしまいましたが、(^O^)/本当にお伝えしたかったのは実はこの後のことです。
子供たちに 4/4拍子系において2拍伸ばす≪二分音符≫や3拍伸ばす≪付点二分音符≫の長さを感覚的に覚えてもらうための意外に簡単な方法があります。
それは、マラカスや鈴、トライアングル等の簡単なリズム楽器を用いて、長さの分だけ振り続けてもらうことでした。
以前ご紹介したようにTPSではリズム譜を用いた学習の段階でも、早い時期から休符や長い音(伸ばす音)を入れておきます。2拍伸ばすには鳴らし続けなければなりません。休符では音を遮断する作業が必要になります。
簡単な楽器であるマラカスや鈴、トライアングルでさえも、慣らし続けるには継続する拍の時間を数えることと鳴らし続けるための筋力が必要です。
そして休符が出てきたら余韻(残響)が残らないよう、動きを意図的に止めなければなりません。
このような体験を折に触れておこなっていくと、子供たちはきちんと鍵盤上でも「鍵盤から指を離さないこと」や「明確に離すこと」を意識していくことがわかりました。
ちなみに「ピアノだと(拍の分だけ)音を伸ばしているのは、マラカスよりもずっと楽だね‼(*’▽’)」と教えてくれた小さな生徒さんがいました。この言葉を聞いたとき、やっぱりリズム叩きは止められない!!と実感しました。
音の長さがルーズな生徒さんがおられましたら、試しにリズム譜でシンプルに叩かせてみてください。拍の感覚も同時に体得してくれるので、とても便利な勉強法ですよ。ぜひ、お試しくださいね(^_-)-☆
※リズム叩きに関しては「リズム」のページもどうぞ。
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