こんにちは!いつもTPSの講師ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

日ごろのソルフェージュ学習の成果を測るため、受講生のTさんに少し難易度の高いソルフェージュ課題に挑戦してもらいました。

それは、新曲視唱でリズム譜付きのもの です。

具体的に言うと 初見でメロディーと異なるリズム叩きをしながら、同時にアカペラでメロディーをきれいに歌う と言う課題。

曲自体は易しく音程も取りやすいものだったのですが、生徒さんは四苦八苦していました。

左手で拍打ち右手でリズム叩き、そして初見視唱  この3つの作業がなかなか独立せず、どこかが一緒になってしまうのです。何度も挑戦してみましたが、結局この日は「今、自分の譜読みのどこがまだ力不足なのかがわかった!」ということで、一旦終了しました。

ソルフェージュや聴音の受験レベルが高い学校では、実際に入試問題でもこのようなものが有ります。

実際にきちんとマスターするには、練習がかなり必要です。テンポ、音程、リズム、息継ぎ、表現などあらゆる要素を考え場がら歌えるスキルが必要になるからです。

ではいったいなぜ、こんなに複雑なソルフェージュ課題があるのでしょうか?

2000 --- Performing Orchestra --- Image by © Royalty-Free/Corbis

2000 — Performing Orchestra — Image by © Royalty-Free/Corbis

より良い演奏をするためには、五感すべてを使って自分の出している音、弾いている曲に神経を使うことが必要であり、そのためには同時並行処理能力(デュアルタスクとも言うようです)を使える資質が求められるからではないか と推察しています。

 

実際のピアノ演奏を例にとってみると、演奏中に演奏者は様々な情報を取り入れつつ、適切な身体運動を選択し、継続していると考えられます。そのうえ音楽は時間芸術なので、時間と共に音質・音量も推移し消えてしまうことを計算しながら、音楽を流れとして表現するものです。

慣れてしまえば自然に行うこれらの同時並行処理や作業も、初心者の人に教えるときに「いかに難しく複雑な工程をしているのだろう」と改めて感じることがあります。そしてスムーズな処理のためには、多くの時間をかけて指を動かし練習しながら、脳と筋肉が連動するように身体におぼえこませている事を、いつもレッスンの時に再認識させられます。

「生徒さんには練習時間をきちんと弾いてきて欲しい」とピアノの先生が願うのは、実はこういう理由からなのです。

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↑八分の六拍子でよく使うリズムパターンの練習問題

 

ソルフェージュに話を戻しますが、「リズム叩き」は比較的簡単な作業なのですが、同じ楽譜上でメロディーラインを追うこととリズム譜を追うことが同時に求められると、かなり複雑な作業になってきます。

歌うスキルだけではなく、眼の処理能力も素早く的確であることが大事ですので、実はビジョン・トレーニングも必要になってくるわけです。子どもさんの場合、眼の動きがぎこちなくてつっかえることも多いので、易しい曲の段階から先を見る訓練をしておくと楽ですよ。

TPSでは易しいレベルからリズムに対する感度を上げておき、すばやくリズムパターンを理解することを聴音・ソルフェージュ領域の指導の方針にしています。

今回難問に初めて挑戦した受講生のTさん、チャンクダウンして作業を結び付けながら、練習方法を覚えてもらいました。次回からは、易しいものを継続してゆきスキルを身につけてもらうよう学習目標(学主計画)をたてて勉強していきます。

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